『風と共に去りぬ』に見られるようなアメリカ南部の優雅で貴族的な世界はまた、
黒人奴隷の存在なしには成立しえなかったことはご存じの方も多いと思います。
ここ、オークアレイプランテーションもまた、さとうきびで財を成しました。
今も当時の奴隷小屋や資料が展示されています。写真は奴隷小屋です。
今年になって読んだ『アメリカ黒人の歴史』本田 創造著 (岩波新書)は衝撃でした。
2014年とはまた違った思いでこの小屋を見つめました。
映画は1939年の作品でハリウッドのスタジオ内と近郊で撮影されたので
アメリカ南部はもちろん、ジョージア州では1コマも撮られていません。
映画『風と共に去りぬ』でも、黒人の描写に随分気を使ったとのことですが、
実際の南部では1960年代でもひどい人種差別があり、黒人少年を惨殺した
白人が無罪になっていたりと『自由の国』とはかけ離れた現実が、今も完全に
払拭されていないことには驚きを禁じえません。
それでも私はこの映画が好きです。原作者マーガレット・ミッチェルがK.K.Kを
肯定しているとかそんなことは抜きにして、ひたすら美しい映像のこの作品は
原作とは別のものだとさえだと思うのです。
何といっても原作の書き出しがいきなり『スカーレット・オハラは美人ではなかった』
から始まるのに対し映画では愛くるしい主人公がちやほやされているところから始まるのですから。
さて、私自身は2度のアメリカ南部旅行で人種差別のある場所と感じることは
まったくありませんでしたが、旅行者は所詮そんなものなのかもしれません。
以下はウィキペディアからの引用です。
あくまで南部白人の視点からのみ描かれた本作は黒人からは「奴隷制度を正当化し、(オハラの様な)白人農園主を美化している」として根強い批判と抗議を受け続けている。特に黒人奴隷の描写に関しては非常に強く批判されており、また白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)を肯定している点等も強い批判を受けている(主人公スカーレットの周囲にいる白人男性たちは、レット・バトラー以外のほぼ全員がクランのメンバーである
この小説に対抗して、『風と共に去りぬ』の黒人奴隷達を主観に据えた黒人からの批判的パロディー小説、『風なんぞもう来ねえ』(The Wind Done Gone)が黒人女性作家アリス・ランデルによって2001年に著されている。この『風なんぞもう来ねえ』は、ミッチェル財団から「著作権侵害」として提訴された。この訴訟について、いったんは連邦地裁が出版差し止め命令を下したものの、2001年5月25日、アトランタの連邦高裁によって「著作権侵害に当たらず」として却下されている。